2007年 04月 28日
耕すように、まちを育てる(3) |
連載第3回をお届けします。
地域のひとや風土の中から、「建築」を構想し、それをかたちにする作業は、設計事務所・建築を行うものとしての本来的な職能、最も大事な部分です。
4、地域固有の建築文化に学ぶ。
重い湿った雪が積もる十日町地域では、冬期の暮らしは雪との格闘の歴史である。その
格闘の痕跡は住宅建築の作り方に深く刻まれている。雪に対して建築はいくつかの外皮を纏い、さや形式の空間構成になっていることや、個人の土地を歩行空間として提供したものが繋がり、雁木の通りをつくってきたことなどは、雪国が誇れる文化である。また、降雨量の少ない瀬戸内の離島にある豊町では、機械的な冷蔵装置がない時代に造られた出荷調整のための「みかん蔵」にはクールチューブが設けられ、打ち水により冷気を閉じ込めるなど、パッシブエネルギー活用の工夫が凝らされている。柔軟な姿勢で地域を見つめ、長い時間の中で培われてきた地場の技術や素材の使い方を創造的に学ぶことからその土地に合ったアイデアが生まれてくる。
5、シンボルとなる力を持った「かたち」をつくる
建築は地域の人たちの夢を表現する。その地域固有の自然条件や歴史的、社会的風土を反映した「かたち」が地域性をつくってきた。しかし、その個性は急速に失われつつある。表層的なデザインに終始し、地域が持ってきた空間構成における作法は、顧みられることもなく捨て去られていく現状がある。地域に潜むそれらの断片を発見し、つなぎ合わせ、新しい技術を通して、地域のシンボルとなるかたちを再生することが必要である。冬期の雪に対する構えとして建築は、土壁、板張り、雪囲い、など幾重かの外皮によって構成されていることや、平地の少ない離島でみかん栽培を展開するなかで出来上がった同じ勾配の瓦屋根が並ぶ高密の集落景観は、地域性を表象する「かたち」に繋がっている。
地域のひとや風土の中から、「建築」を構想し、それをかたちにする作業は、設計事務所・建築を行うものとしての本来的な職能、最も大事な部分です。
4、地域固有の建築文化に学ぶ。
重い湿った雪が積もる十日町地域では、冬期の暮らしは雪との格闘の歴史である。その
格闘の痕跡は住宅建築の作り方に深く刻まれている。雪に対して建築はいくつかの外皮を纏い、さや形式の空間構成になっていることや、個人の土地を歩行空間として提供したものが繋がり、雁木の通りをつくってきたことなどは、雪国が誇れる文化である。また、降雨量の少ない瀬戸内の離島にある豊町では、機械的な冷蔵装置がない時代に造られた出荷調整のための「みかん蔵」にはクールチューブが設けられ、打ち水により冷気を閉じ込めるなど、パッシブエネルギー活用の工夫が凝らされている。柔軟な姿勢で地域を見つめ、長い時間の中で培われてきた地場の技術や素材の使い方を創造的に学ぶことからその土地に合ったアイデアが生まれてくる。
5、シンボルとなる力を持った「かたち」をつくる
建築は地域の人たちの夢を表現する。その地域固有の自然条件や歴史的、社会的風土を反映した「かたち」が地域性をつくってきた。しかし、その個性は急速に失われつつある。表層的なデザインに終始し、地域が持ってきた空間構成における作法は、顧みられることもなく捨て去られていく現状がある。地域に潜むそれらの断片を発見し、つなぎ合わせ、新しい技術を通して、地域のシンボルとなるかたちを再生することが必要である。冬期の雪に対する構えとして建築は、土壁、板張り、雪囲い、など幾重かの外皮によって構成されていることや、平地の少ない離島でみかん栽培を展開するなかで出来上がった同じ勾配の瓦屋根が並ぶ高密の集落景観は、地域性を表象する「かたち」に繋がっている。
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by arch-ryu
| 2007-04-28 20:53
| 主宰者の言葉